2019.11.6 14:18
2019.11.6 14:18
私たちが認識している概念構造は、ツリー構造を持っているものが多い。典型的なものは生物の分類や生物の進化のツリーがそれである。また会社など多くの、まさに「組織」は大抵ツリー構造を採用する。自然の理解にも、人工的な構築物にもツリー構造が顔を出す。
自分たちが、UIの画面をデザインするときも、画面同士の関係はツリー構造として描くことが多い。サイトマップを見てもたいてはツリー構造で描かれている。オブジェクト指向におけるクラス階層もそうだ。
それはいったい、どうしてなんだろう?
構造として考えれば、ネットワーク型もあれば、マトリックスもある。無構造というゼロにあたる構造もあるだろう。
それは、こういうことではないか。
私たちを含む世界は「時間」の中に存在している。そしていろいろな「現象」が、時間の中で起きている。いや、そうではない。“時間の中に起きること”を私たちは「現象」と呼んで理解しているのである。「認識」自体ももちろん、時間の中で起きている現象だ。
「この」宇宙の時間は、一方通行で後戻りを(とりあえず)しない。したがって、現象は、時系列に順を追って起こる、現象という「変化/変容」は、元にあるものや状態と、その後にいたった、ものや状態の「差」として規定できる。一つの状態に対して、起こりうることはいくつかのバリエーションがある。もしも、一つの状態に対して絶対的に次の状態が一つに決まるのであれば、もはや「現象」という認識が成立しない。ほかの状態になり得る、という多くの可能性のうちの一つが起きるということが、「現象」という認識を生んでいる。 そのバリエーションは次段階のバリエーションを生む。その様子を描くと自然とツリー型の構造になる。つまり、時間の中に生きて、さまざまなものごとを認識している、という中に基本的な構造として、ツリー構造があるということである。
人は多くのこと、時間の中で起きるできごとやできごとが生みだすたくさんのものを、理解する必要があった。(いや「必要」ではなく、それを理解することが生存に有利であった。)そうやってツリー構造という認識方法を身体化していった、のだと思う。
ツリー構造という構造は「図」として二次元平面上にきれいに表すことができる。 つまり、時間を空間にマッピングしたもっとも端的な例、といえると思う。
もう一つ基本的な構造(図)として、マトリックス(2次平面)がある。これは、ツリー構造が時間からきているのに対して、基本的な空間の認識からきていると考えられる。
私たちが3次元の空間上に生きて、視覚によってその空間を認識している。実際には、視覚は3次元ではなく2次元の平面であるが、これはレンズ=水晶体と網膜という、動物の身体構造からきている。私たちに与えられた生のデータは、2次元に広がる光の束であるが、それを脳が解釈することによって、立体というモデルに読み替えている。
私たちは視覚に移る平面を、上下と左右への広がりと認識(認識以前かもしれない)している。「2次元」ということの意味は、理論的にいえば2つの完全に独立した変数を扱えるということであるが、これは物事を整理してモデル化するのに、ツリー構造と同様に役立っている。
これらは、もちろん〈わかる〉のための構造化/モデル化の例である。
→ 空間的なモデル化/構造化(静的構造)
ツリー構造(内容は時間から発生している)
マトリックス構造
→ 時間的なモデル化/物語化(動的構造:経緯/起源と将来予測)
これらは、〈わかる〉ためであり、〈わかる〉は、未来予測/予知のためである。
また、「モデル化」という作業自体は、実は空間化である。
190411