2024.12.30 16:55
2024.12.30 16:55
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退社を1、2ヶ月後に控えたある日の昼休み、オフィスにおいてあったデザイン誌を何気なく見ていて、一つの記事が目に止まった。書体(当時はもちろん写植)を作っているモリサワが出していた「たて組み/ヨコ組み」という雑誌で、米国のバークレイのAaron Marcusというデザイナーのコンピュータに関する新しいデザインジャンルの取組が紹介されていた。
彼によると、コンピュータには人間に向けた3つの顔があるという。
電気ショックが走った。そうかこれかっ!!!
すべての、点が結ばれて霧が晴れた。
自分のやりたかったこと、わけも わからずコンピュータに魅せられプログラムに招き入れられたこと、そしてそもそもこのために自分はデザインを学んできたということ。(もう30年も前のことだけど、たぶんそんなふうなことが自分に起きた。)
しかし周囲を見渡してもそんなデザインをしている人もいないし、そんな話は聞いたこともなかった。
だから、会社を辞めてみてもどうするか手立てを思いつかなかった。ソフトウェアのデザインを求めている会社があれば営業にまわることもできたかもしれないが、それにしても実績はゼロだし、そんな会社があるとも思えない(※1)。さて、どうするか。
しかし、そんなデザイナーを求めている会社があった。
元のデザインオフィスや大学の先輩を経由して、そういう会社紹介のオファーがあった。あって話を聞くとまさにそういう人材を求めていると言われて舞い上がった。OA関連のメーカー(※2)で、そういうデザイン部門を立ち上げたばかりという。
しかもおどろくべきことに、Aaron Marcus からその会社に人材教育のオファーがあるので、自分が入社したらバークレイのオフィスに教育にいかせてもよいという。そんな素晴らしいことってあるか???
そんなわけで翌年春から、その会社に入りUIの仕事をはじめることになった。
そして早くも5月の連休明けには、サンフランシスコ行きの飛行機にのりこんだ。
自分は運命といったものは信じない方だが、人生ときに面白いことが起きるもんだ。
(※1)じつはその時から5年前の大学5年時にそういうこととは一切関係なく、日本IBMの採用試験を受けて落ちたことがある。デザインという枠などもちろんないので一般枠で申し込み「デザイナーなんです!」と言って面接官にキョトンとされた。その後しばらくして、IBMにもデザインセクションができて、実際のプロジェクトやデザインの講師をしにいった。
(※2)株式会社リコー。この会社はおもしろい会社で、とにかく新しいことにかなり早く手だけはつけるんだ、と会社の人に言われた。