2026.1.2 10:55
2026.1.2 10:55
「心の哲学」という哲学分野がある。一般にはあまりなじみのない領域だと思う。はじめて聞くとなんだかスピリチュアルで怪しい感じを抱くかもしれない、何を隠そう自分がそうだった。
けれどとんでもない。扱う対象は「心」というつかみ所のない、多面的で「曖昧」なものであるけれど、逆にそれゆえにむしろ心の哲学のアプローチは哲学のなかでもとくに科学的である。しかも現代的な最先端の哲学であり、ある意味「今」もっともホットな哲学分野であるといってもいい。
脳科学や人工知能などが近隣しているが、どちらかというとこれらの現代科学を背景にして生まれた哲学分野であるといっていいと思う。
イデオロギーや宗教、文化、民族という一体感、戦争や紛争、論争、陰謀論の信奉など、すべて「頭」というより「心」が決めていると思われる。
だからこの哲学分野はもっと議論されていい分野だと思う。もちろんここにすべての「答え」があるわけではない、ただ結論に向かうアプローチがあるだけだ。足りないものがあるなら、足していけばいい。
デザインとはどういう関係にあるのだろうか。
自分はデザイナーとしてデザインを生み出す側にいるが、最終的には生み出されたデザインを「使う」人びとがおり、彼ら利用者こそがデザインの主役である。
一般にデザインの分野はデザインされる対象物によって分類されている。さまざまな製品、ファッション、建築、都市、コンピュータ・システム、広告など。使用者がこれらを選ぶとき、合理的・論理的・実利的な側面「だけで」選ぶのなら「デザイン」の出番はあまりない。しかし彼らは、美醜、好悪、ステータス、自己肯定などなど「えもいわれぬ」感覚的な理由で選ぶ。こういういわば工学などでは扱いにくい選択理由をひっくるめてデザインは引き受けている(引き受けざるをえない)、と自分は考えている。
こういう「選択判断」は、結局「心」が決めている、ともいえると思うのである。だから「心の哲学」はデザインにも関係がある。
〈思考〉と〈感覚〉:個人的にはデザインの問題を、〈思考〉と〈感覚〉という枠組みのなかで読み解こうとしているのだが、このこととも心の哲学は呼応している。
「心の哲学」——新時代の心の科学をめぐる哲学の問い/信原幸弘編(ワードマップ)
この本をときどきめくる。
「心の哲学」の概要・話題
260102