FACTFULNESS
2021.1.24 11:40
2021.1.24 11:40
事実に基づく世界の見方
ハンス・ロスリング著
世界で起きていることについて、多くの人が多くの認識間違いを犯している。
それは知識や教養があっても、地位や役職があっても、ましてやお金があっても、逃れられない間違いである。
その間違いのパターンを、最終的に10 の本能としてまとめている。どの指摘もわかりやすく単純なことだしどれもべつに新しさはないけれど、「事実」に基づく数字、グラフ、ビジュアル(写真)を駆使して話には強い説得力がある。
昨今の出来事と絡めて読んで、かなりおもしろかった。
パンデミックへの右往左往の対応状況や、アメリカ大統領選にからむ騒動などを見ていると、すべての問題は「指摘済み」である。
「本能」という言葉は少し引っかかるけど、いいたいことはよくわかる。
これらの本能は、実際は私たちが生物として長い時間をかけて獲得した「能力」でもある。たとえば、生物(高等な)が生きていく上でパターン化は欠かせない。それは認知や思考の基本的な枠組みであり、経験する物事や状況を毎回新しいものとしてとらえていたら、命に関わるほど危険でもある。
そういう意味でやはり「本能」なのかもしれない。
なんかスピリチュアル系かな(マインドフルネスとの混同?)と勝手に思ってスルーしていたけど、ぜんぜん違っていた。正反対といってもいい。
著者のハンス・ロスリングは、この本の原稿を完成させた後、出版を待たず癌で亡くなった。この本は彼の末期癌の病床の中で、使命感に背を押されながら書き上げられた。
210105