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FACTFULNESS

2021.1.24 11:40

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事実に基づく世界の見方
ハンス・ロスリング著

世界で起きていることについて、多くの人が多くの認識間違いを犯している。
それは知識や教養があっても、地位や役職があっても、ましてやお金があっても、逃れられない間違いである。

その間違いのパターンを、最終的に10 の本能としてまとめている。どの指摘もわかりやすく単純なことだしどれもべつに新しさはないけれど、「事実」に基づく数字、グラフ、ビジュアル(写真)を駆使して話には強い説得力がある。
昨今の出来事と絡めて読んで、かなりおもしろかった。

パンデミックへの右往左往の対応状況や、アメリカ大統領選にからむ騒動などを見ていると、すべての問題は「指摘済み」である。

  1. 分断本能
    物事や人々を2つのグループに分けたい本能。そしてその2つには埋められない溝があると思い込む。
  2. ネガティブ本能
    物事のポジティブな面よりネガティブな面に注目しやすい。そして世界はどんどん悪くなっていると思い込む。
  3. 直線本能
    ほとんどの傾向は直線的に推移しない。直線に見えるのは一部だけが見えているからである場合が多い。
  4. 恐怖本能
    人は物語、それもドラマチックな物語として情報を捉えたいが、恐怖は特にドラマチックである。そして世界を実際より恐ろしく見がちである。
  5. 過大視本能
    人は物事の大きさを判断するのがうまくない。物事を極端に過大評価/過小評価してしまう。ジャーナリズムは特性としてそれを煽る。
  6. パターン化本能
    人は無意識に物事をパターン化し、それをすべてに当てはめようとしてしまう。ときにパターンから外れたことに重要な事象がある。
  7. 宿命本能
    持って生まれた宿命によって、人や国や宗教や文化の行方は決まると思い込みがちだ。物事がいまのままであるのには理由があり、それは昔からそうでこれからも永遠にそのままだ、と。
  8. 単純化本能
    人はシンプルな見方に惹かれる。よい考えがひらめけば、うれしくて興奮する。世界を一つの切り口で見れば何も悩まずすむ。しかし残念ながらすべてがシンプルとはかぎらない。
  9. 犯人捜し本能
    物事がうまく行かないと誰かが悪いことを仕組んだと思いがちだ。社会は得たいが知れず、理解するのがむずかしいという恐怖を取りのぞける。しかし本当の理由が見えなくなる。
  10. 焦り本能
    今手を打たなければならないことは、なくはないが、実際にはそう多くはない。物事は思うよりもゆっくりと進むし、取り返しもやり直しも利く。焦りは禁物で、物事の判断を狂わせる。

「本能」という言葉は少し引っかかるけど、いいたいことはよくわかる。
これらの本能は、実際は私たちが生物として長い時間をかけて獲得した「能力」でもある。たとえば、生物(高等な)が生きていく上でパターン化は欠かせない。それは認知や思考の基本的な枠組みであり、経験する物事や状況を毎回新しいものとしてとらえていたら、命に関わるほど危険でもある。
そういう意味でやはり「本能」なのかもしれない。

なんかスピリチュアル系かな(マインドフルネスとの混同?)と勝手に思ってスルーしていたけど、ぜんぜん違っていた。正反対といってもいい。

著者のハンス・ロスリングは、この本の原稿を完成させた後、出版を待たず癌で亡くなった。この本は彼の末期癌の病床の中で、使命感に背を押されながら書き上げられた。

210105